# Workato コネクター構築ガイド 上級編

このガイドでは解説の仕上げとして、コネクターの使いやすさとコード品質に重点を置いた説明を行います。これには堅牢なコネクターの作成計画に役立つエクササイズや、コネクターのコード作成に関するガイドラインなどが含まれています。ここでは、こちらにあるコネクター構築の基本事項に目を通していることが想定されています。

このガイドでは、オブジェクトベースのコネクターという概念を導入します。これは、NetSuite や Salesforce をはじめとする、Workato の多くのコネクターで採用されており、それらを使用していればすでに見たことがあるはずのものです。オブジェクトベースのコネクターは、ユーザーがまず「Create」 (作成) や「Update」 (更新) といった動詞を選択してから、作成または更新したいオブジェクトを選択できるようにすることで、煩雑さを軽減するものです。

# このガイドから得られるもの

このガイドは、幅広いユーザーが利用できるコネクターの構築に向けて、考えを整理するのに役立ちます。カスタムコネクターは、Workato でサポートされていない Web API に接続するための簡略的な方法として利用することもできますが、このガイドでは、長期的な視野から考えたコネクター構築のアプローチに目を向けていきます。また Workato では、コミュニティのユーザーが、自身の作成したカスタムコネクターをプラットフォーム全体のコネクター (Workato のプラットフォーム上で誰もが発見して利用できるコネクター) へと昇格させることもできます。

このガイドを読む目的が、独自の Web API へのコネクターを Workato で構築することにある場合は、リソース指向の API 設計について説明している Google のガイド (opens new window)が非常に有用な資料となります。API の構築が優れていれば、コネクター構築のエクスペリエンスだけでなく、アプリケーションのユーザーが Workato でレシピを作成する際の統合エクスペリエンスも大幅に容易になります。

# カスタムコネクターを Workato プラットフォームに投稿しようと考えている場合

構築したカスタムコネクターを、Workato ユーザーの活発なコミュニティからアクセスできるようにしたい場合は、Workato のサポートサイトでチケットを提出してください (opens new window)。当社は皆様を適切な窓口へ転送するとともに、提出されたコネクターをレビューする時間を設けます。

コネクターを投稿すると、次のようなメリットを期待できます。

  1. カスタマーが Workato との統合を行うようになり、投稿者の API の利用が増加する
  2. Workato ユーザーは日々の仕事を便利にする新しいビジネスアプリケーションを絶えず探しているため、投稿者のサービスのリードが増加する
  3. Workato のコミュニティで公開される統合ユースケースで取り上げられる機会が多くなる

# オブジェクトベースのコネクター

そもそもオブジェクトベースのコネクターとは何だろうと疑問に思うかもしれませんが、その前にまず、アプリケーションにどのようなリソースや手続きがあるかについて明確にしておきましょう。

クラウドベースのアプリケーションを見ると、ほとんどのアプリケーションがその中核に何種類かのリソースを持っていることが分かります。それらのリソースは、アプリケーションのユーザーが操作していて有用と感じられる構造でデータを保持しています。たとえば、バンキングアプリケーションのリソースには、銀行のカスタマーに関連する情報すべてを含む Customer (カスタマー) などがあるでしょう。

一方、アプリケーションは、構造化されたリソースにデータを保持するだけではない多くのサービスをユーザーに提供します。このような面で、アプリケーションがシステム内のリソースに対して実行する処理は、ユーザーにとっての大きなビジネス価値を生み出すものでもあります。たとえば、いま例に挙げたバンキングアプリケーションの処理には、Bank Transfer (口座間送金) というものがあるかもしれません。この処理には、各口座の残高のチェックや、操作の原子性 (不可分性) の確保といった、ある種の検証作業が含まれる場合もあります。

Workato でコネクターを構築する際、オブジェクトベースのコネクターはリソースと処理の 両方 に対応することができます。しかし多くの場合は、個別のプロセスに取り掛かるよりも前に、リソースを操作することがコネクターの基盤となります。

次の章では、コネクターの計画を立てるのに役立つ思考エクササイズをこなしていきます。


Last updated: 2023/8/31 1:07:14